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教育現場で出会うこと その4(自閉における聴覚の作用) [『ぶん★文★ぶん』]

自閉症の幼児、児童、生徒、学生達においては聴覚はどのように働いているのだろうかと感じることがあります。自分は健常者のつもりで日々の生活を営んでいるのですが、人間は多分、聞きたい音や聴きたくない音をある程度分別して聞き分けているように思います。勿論自分の分野であるクラシック音楽の世界では観客が盛り上がって・・・というケースは少なく、誰もが静かに一台のピアノが奏でる音色を聴いてくださっています。自閉症の人々にとっては少なくとも集中して音楽を聴いているとき我々が感じる以上のおおきなボリュームで聴いてくださっているのではないかと思うのです。その逆にロックや人気グループのコンサートで客席も盛り上がって黄色い歓声などが聴こえているときは聴きたいはずの音楽と同様にきゃーきゃーという歓声も同じボリュームで耳に飛び込んでいるのではないかと思うのです。これはかなりおおきなストレスかもしれません。通常ですと自分が聞きたいともう音楽に耳を集中させ、同じような音量で聴こえてくる歓声は知らないうちに聴かないように作用して聞きたいものに集中力が高まるモノなのでしょうが、その辺りのコントロールが困難なように感じられます。

例えば、休み時間に一人の生徒を呼び出そうと思い、教室まで足を運んでみると昼休みで生徒達は何かしら騒いでいます。その中で自分が呼び出そうとしていた生徒はイスに座り頭を抱えていました。側に近づき『ちょっと先生の部屋まで来てくれるかな。』と優しく声をかけたつもりでしたが、反応してくれた顔つきは恐怖におびえたような顔で耳をふさいだんです。多分、同級生の声一つ一つが耳に飛び込んできていて『うるさい』という間隔よりはストレスに近い状態になっていたのだと推測されます。そこで、近づいて自分が突然に声をかけたものだから、その音量といったら彼にとっては飛行機の爆音に近い状態だったのでしょう。あとで非常に反省をしたのですが、自分自身が彼に対する状況が飲み込めていなかったばっかりに、普通に声をかけてしまったことで余計に混乱させてしまったことを後悔しました。

あくまでも推測の世界ではありますが、自閉を抱える子供達は我々健常者には想像も付かないほどのとてもつらい思いをしているケースがあるのかもしれません。
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