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31回目の結婚記念日 その2 [Diary]

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エッセイ『恋愛スタート』(青年期)

カレンはとても真面目な学生でした。英国の音楽院生は自宅に楽器を保有する学生もいれば、
練習は大きな音がするものですから、早朝、学校に来て練習する学生もたくさんいます。
音楽院の朝は学生の行列からはじまります。
自分は留学時代も自宅にピアノを置いていたので、
『朝の学校』を知ったのは大学院に入学して数ヶ月たってからでした。
院生の自分のレッスンはいつも夕方でしたから、
朝から学校に出かける必要は全くなかったのです。
それでもカレンが早朝から学校で練習していると言う話を聞いたので、
早朝に学校へ行ってみたら、本当に長い列が学校の正門前に出来上がっていたのです。
学生たちは限られた練習室を朝から並んで予約し、授業が始まる前から練習をするのです。
レッスン室も授業前は学生たちに解放されますので、
良い楽器で練習するためにはできるだけ早く学校に到着して、
自分の好きなレッスン室、練習室を予約することになるわけです。
運がいいとスタンやベーゼンで練習できるわけですから。
自分は練習に出かけるわけでは無く、カレンに会う為だけに早朝に学校に通うようになりました。
『朝の学校』の行列では、カレンはいつも一番手か二番手にならんでいます。
そして朝から練習を始めるわけです。
自分はカレンに会うのが目的ですから、練習室の予約をするわけでもなく、
カレンに付きまとい、カレンが練習室を予約すると、カレンの部屋に入り込み、
練習中はグランドピアノの下にもぐりこみお昼ねタイム!!
練習の邪魔をしてはいけませんからね・・・・。
でも、カレンが間違えるたびに目が覚めてしまうんですね。
ほかの人の練習を聞きながら睡眠をとるのはかなり難しいものです。
ただ、カレンのそばに居たかっただけなんでしょうね。
カレンにとってはかなり迷惑なお話だったことでしょう。
しかし、カレンも文句を言うことも無く、練習室に入れてくれたのですから、
まんざらでもなかったのだと信じています。
院生の自分のレッスンは夕方6時からでした。
レッスンは一時間を予定されているのですが、一時間で終わったことは一度もありません。
2時間以上のレッスンは当たり前でした。
自分の恩師アントニー・リンゼイ教授はかなり自分に入れ込んでくれていたので、
その日の最後のレッスンに自分を入れれば学校が終わる9時までレッスンは延長可能なわけですから。
こんなうれしい話はありませんが、3時間もレッスンされると、指は引きつり体力も限界に達してくるものです。
しかし、レッスンが終わって部屋から出てくるといつもカレンの笑顔が待っててくれたのです。
そして、教授やカレン、そしてほかの音楽院の学生達と共に音楽院近くのパブに出かけると言うのが
レッスン日の日課でした。
このようにしてカレンに接近していった自分です。
友達としてカレンと自分はお互いに近しい存在となっていきましたが、
友達関係の枠を抜け出すことは当分ありませんでした。
二人の恋愛、そして恋人関係がスタートしたのは
トゥリニティー音楽院学生会主催のバレンタインのディスコパーティーでのことです。
数日前よりカレンは体調を壊していて、当日参加できるかどうかわからないといっていましたが、
バレンタインパーティーは当然2月14日に開催されます。
2月14日は自分の誕生日。
音楽院主催のディスコパーティーはロンドン市内のディスコを借り切って開催されます。
自分はこの日にカレンに『告白』することをもうすでに決めていました。
だから、どうしてもカレンに参加してもらわないと、自分の計画はすべて流れてしまうわけです。
当日、カレンは本当に体調が悪そうでしたが、
自分に誕生日プレゼントを渡すためにわざわざ学校に来てくれました。
学校でカレンに何度も何度も絶対に夜のパーティーに参加するように誘いました。
しかし、返事は『わからない。』としか言ってくれませんでした。
それだけ体調も悪かったのでしょうが、、、、。
そして、夜7時半にディスコパーティーが始まり、自分はいそいそと出かけていきました。
8時になってもカレンは現れない。そして8時半ころ、友達に付き添われてカレンが会場に現れてくれました。
当然、カレンの友達もみんなこの日に何かがカレンに起こることは当然予測していて、
カレンを連れてきてくれたようです。うれしかったなぁ。
そして、体調が芳しくないのにカレンは自分と一緒に踊ってくれました。
そして、自分が『友達としてだけではなく、恋人としておつきあいしてくれないかなぁ??』と、
真剣に『告白』してみたのです。
その答えは『考えさせて!』というものでした。
どひゃ~~っ!
自分としてはすんなり事が運ぶと思っていたものですから、かなり凹んでしまいました。
えっ!!うそっ!!
しかし、ここで引き下がるわけにもいかず、
普段の会話を続けながら、流れるディスコミュージックに身体と心を任せていました。
夜も11時になるとディスコパーティーも終わりに近づきます。
そこでDJはお決まりのスローなチークを流してくれるのです。
ここでもう一度『僕と恋人として、つきあってくれないかなぁ?』と切り出してみました。
・・・と言うのも断られたまま、というか、はっきりしないまま帰宅して
眠りに就くことができる自信がなかったので、
その日のうちになんとしてもカレンからいい返事を聞きたかった。。。
という自分のエゴだったのかもしれません。
カレンは無言のままでした。
そして、流れるスロー・チークも終わりに近づいたとき、
お互いの腰に手を当てたままチークを踊っていた二人ですが、
カレンが目を瞑って自分のほうを見上げてくれたのです。
(ちょっとだけ自分のほうが背が高いのですぅ。)
そして、自分はそぉ~~っとカレンにキスをしたのです。
そのキスをカレンは受けてくれました。
カレンの返事・・・・・・・・・・・・なんて素敵なんでしょう。
こうして1983年2月14日、
25歳の誕生日にカレンと恋人としてお付き合いをはじめることになったのです。 いきました。
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