31回目の結婚記念日 その3 [Diary]
エッセイ『恋する女性』
恋をすると女性は美しくなります。
とてもボーイッシュな女性だったカレンですが、
お付き合いを始めて半年ほどたったころ、夏休みに入りました。
当然のことながら自分は夏休みの殆どを自宅のあるロンドンやパリでのバカンス、
ヨーロッパ、英国国内の音楽祭やコンクールなどで過ごすわけですが、
カレンは実家のあるヨークシャーブラッドフォード市に帰省します。
1983年の夏はカレンはどうしてもアルバイトがしたかった。
それは洋服が欲しかったし、化粧品も欲しかったし、アクセサリーもほしかった。
そのために4週間以上の夏休みを銀行で働いて過ごしたのです。
その間、自分はロンドンで遊びほうけて、パリでのバカンスや、
コンクールでヨーロッパを飛び回ったりと忙しくもリラックスした日々を送っていました。
そして、9月になり、カレンがロンドンに戻ってきたと言うので、
連絡を取って、サウスケンジントンの地下鉄のプラットフォームで待ち合わせをしてデートの約束をしました。
そうしたら、、、、
待ち合わせの時間になってもカレンが来ない。
プラットフォームを行ったりきたりする自分。
それでもカレンはなかなか来ないんですよ。
基本的にカレンは今でも仕事のお約束の30分以上前には必ず現地に出かける人で、
遅刻と言うことは絶対にないのです。
『おかしいなぁ・・・』・・・と思いながら、
もう一度プラットフォームを探し回りました。
そうしたら、いるじゃないですか。美しい女性が、、、、。
カレンはロング・タイトスカートにハイヒール、素敵なブラウスにレインコートといったいでたちで、
自分が何度もカレンの前を通り過ぎるのを見ていたそうです。
いつになったら気がつくか・・・って・・・。
気がつくはずがないですよ。
だって、カレンは夏休み前から10キロ以上も痩せちゃって、
ジーンズにトレーナー姿しか殆ど見たことがなかったのに、
御化粧をばっちりしてどこのお嬢様かと思うような姿、、、。
気がつくはずがない。これは本当に驚きました。
カレンが本当はこんなにも美しい女の子だったなんて、、自分は知らなかったのです。
そして、二人で食事をしてパブで一杯飲んでから、その日は帰りました。
前にも述べたように、自分とカレンは1983年のバレンタインにお付き合いが始まったわけですが、
そのことは学校中でも周知の事実。
学生は勿論、事務の皆さんから教授たち、校長まで誰もが知っていました。
自分は一応、成績もそれなりで学校でも試験の成績発表の時にはいつもトップクラスを維持していましたし、
コンペでも成績を残していました。
カレンのほうは学校のオーケストラでパーカッションを担当し重要な打楽器奏者として活躍していました。
ですから、誰もが知ってるカップルだったのです。
それが、9月になって『あの二人はわかれたらしい。』と言う噂が学校中に流れて、
自分の耳に入ってきたのは10月になってからのことでした。
『はぁ~~~??』自分は驚いてしまいました。
それもそのはず、学校中がカレンの変身ぶりに気がつかなかったのです。
自分がほかの女性に乗り換えたって言う噂だったのです。
それほどカレンの変身振りはすごかったんですよ。
なんとなく田舎くささの残るボーイッシュな女の子が夏休みの期間に、
本当に変身して学校に現れたときには全く見違えるほどになっていたと言うことですね。
自分が地下鉄の駅で気がつかずにカレンの前を通り過ぎるのも、
仕方がないほどの変身振りだったのです。
『恋』は女性を美しく変身させます。
それに比べて、男性は全く成長しないものなのかもしれませんね。。。
自分は夏休み中、何をしていただろう・・???
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